
~前回までのあらすじ~
上司Aを怒らせ、雇い止め通告を受けた筆者。
不更新条項入りの契約書を拒否し、話に何の進展もない四者面談を経て、また面談をすることになりました。
いつのまにか変化する雇い止め理由
指定された日時に、再び会議室に入ります。
人事Bからメールが来てたので何となく分かっていましたが、上司Aの姿はなく、社長と人事Bの2人がやってきました。
今日は前回とは違って直接喋れるみたいですが・・・。
社長「協議した結果、やはり雇用継続は難しいと判断しました。◯◯(筆者)さんが雇用継続を強く希望されてるようなので、こちらの契約書も用意しました。こちらから出せるのはこれだけです。」
と、今度は3ヶ月の不更新条項入り契約書を差し出してきました。
筆者「(社長・・・あなたもでしたか。)」
どこか申し訳なさそうにしている様子の社長でしたが、結局上司Aのおかしさには目を瞑ってしまったようです。
ちなみに3ヶ月に伸びたのは温情でも何でもなく、以下のように法律で定められているためだと思われます。
労働基準法 第十四条
二② 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」
4 契約期間についての配慮
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1209-1f.pdf
使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契
約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じ
て、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。
ウチの会社の場合、労働基準法はちゃんと守るつもりがあったようです。
でもなぜか労働契約法の方はさっぱり。「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」のラインがわからなかったのでしょうか・・・。(→参考記事:解雇権濫用法理)
にしても、ちょっとネットで調べればある程度わかりそうなものです。
もちろんこの時も不更新条項に納得いかなかったので、再び雇い止め理由について2人に問い詰めました。
すると、最初は言い訳やら人のせいにするやら言っていたのが、いつのまにか「上司の命令に違反してるので就業規則に反する」というふうにグレードアップしていました。
言い訳や人のせいにすることが命令違反と見做されちゃったら日本はおしまいです。(てかしてない。)
筆者「(たぶん雇い止め理由が弱すぎるのに気づいて、無理やりねじこんだんだな・・・。)」
社長にも人事Bにもがっかりです。
他にも上司の信頼がどうのこうのと言っていましたが、なぜ上司自身に問題があるとは思わないんでしょうか・・・。
※ちなみに上司Aは他の部下との関係も上手くいかず、その部下は別の上司の配下になったという前科があります。
そんな感じで、こちらがいくら反論しても、返ってくるのはとんでも理論のみ・・・。
気づけば面談開始から2時間も経っていました。
とうとう契約書にサイン・・・
定時の時間はとっくに過ぎており、延々平行線のままの状況に、お互い焦りや苛立ちを見せ始めていました。
すると、社長が突然「勤務態度が良くなって上司AからOKが出れば、雇用継続も考える」と言い始めました。
しかも「上司Aがウンと言わなければ契約の保証はできない」という、ふざけた前置き付きです。
こちらが拒否していると、今度は「自信がないのか」と挑発してきました。
・・・はい、明らかに罠です。
罠なんですが、この時の筆者はおそらく長時間の拘束で判断力が低下していました。
3ヶ月間こちらが完璧な勤務態度を見せれば、会社も考え直す気になるかもしれない・・・。
上司A以外の人とは衝突なんてしたことないし、「勤務態度が悪い証拠なんて絶対掴ませないぞ」という自負もある。
社長がちゃんと仕事ぶりから判断する人間なら、もしかしたら・・・。
・・・・・・。
ちくしょー!やってやらぁぁーー!!!(?)
・・・と、そんな感じで結局3ヶ月の不更新条項入りの契約書にサインをしてしまったのです。
ちなみに長時間の拘束は疲労によって思考力が低下し、その場から逃れるためについYESと言ってしまうような状態にあるため、つけ込み型勧誘などでも利用されているとのことで消費者庁も警鐘を鳴らしています。

不当な契約書を渡されたら、無理せず一度家に持ち帰りましょう・・・。
とりあえず、次の契約更新時期が来るまでは特に抗議行動などはせず、いつも通り業務にあたることにしました。
もちろんこのまま雇い止めになる可能性もあったので、そうなったら本当に許せないので、この日から本気で労働審判も視野に入れはじめました。
(そして今更ながら思うのですが、面談とか話し合いとかする時は必ず毎回録音をしておいた方が良いです・・・。筆者はこの時うっかりしてて、録音していませんでした。)

[番外編]団体交渉とあっせん
ちなみに労働審判の前段階として、労働組合(ユニオン)の団体交渉、労働局のあっせんという選択肢もあるようです。
この2つは費用も時間もそれほど掛からないみたいですが、筆者の場合これらの利用はあまり考えていませんでした。
労働審判や訴訟と比べると強制力が弱い(交渉が決裂すれば解決せずに終わってしまう可能性もある)のと、解決金がかなり低くなる傾向にあるからです。(→こちらのサイトの比較がわかりやすかったです。)
筆者の場合は復職希望でしたし、もし復職が叶わなかったとしても、やっぱりそれ相応のお金をいただきたいというのが本音でした。
それに、解決しなかった場合はそれまでの時間や費用が無駄になってしまいます。
弁護士さんに依頼する時のように手続きや交渉を丸投げすることもできないので、かなり労力もかかりそうです。
そういうわけで、もし会社が雇止めを撤回しなかった時には、上記をすっ飛ばしていきなり労働審判をするという方針に決めました。

