
~前回までのあらすじ~
雇止めをされた筆者は、ネットで見つけた弁護士さんにアポを取り法律相談に行きました。
対面でのやりとりでも特に不安は感じなかったため、そのまま委任契約を結ぶことにしました。
代理人を立てる
委任契約を結んだ後、担当弁護士さんから契約締結のご挨拶と、会社側に送る受任通知の内容確認のメッセージが届きました。
受任通知とは、簡単に言うと「弁護士◯◯が代理人になったので、後のやりとりは本人じゃなくて◯◯が引き受けますよ」という、お知らせのようなものです。
労働問題以外でも、当事者同士でこれ以上話をしても埒が明かない、直接話をしたくない・・・って状態の時に、こうして代理人を立てました宣言をします。
筆者の場合、弁護士さんとメールで何度か内容を確認修正して、委任契約を結んだ日から大体一週間くらいで会社に送られました。
実際に筆者の弁護士さんが相手方へ送ったものが↓こちらです。

緊張感漂う内容で会社に圧をかけてるような感じですね。
ちなみにこの文書は、会社側が「届いてない」等と言い訳できないように内容証明で送付されています。
送った日付の時点で契約終了に納得していない事が証拠として残りますし、法的手続きも考えている事がわかるので、よっぽど危機管理能力がない会社でない限りは無視しづらくなります。
※内容証明・・・いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便が証明する制度。内容証明で書類を送れば、のちに労働審判などで証拠となりえます。
労働審判手続の利用に当たっての留意点
申立書には,当事者間の交渉など申立てに至る経緯の概要も記載する必要があるため,労働審判手続の申立て前に当事者間で交渉を行ったり,行政機関等によるあっせん手続を行ったりしておくことが求められます。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/roudousinpan/index.html
参考:裁判外交渉
受任通知が送られた後、筆者は普段通り仕事をして相手方からのアクションを待ちました。
宣戦布告
受任通知から約10日後、なかなか会社側や弁護士さんからの連絡がなく「もしかして無視するつもりなのか・・・?」と考えていた矢先、人事Bが得意げな顔で書類を渡してきました。
「離職証明書の記載内容に関する確認書」と、会社の秘密保持に関する誓約書のようです。
筆者「えーっと、代理人からそちらに連絡がいってると思うんですが・・・」
人事B「こちらも代理人を立てて、お返事はしましたので。書類をご確認いただいて提出お願いします。」
どうやら会社側も弁護士をつけたらしく、このやりとりの直後にこちらの弁護士さん宛に「契約終了は合意の上なので更新はしません。」という旨の通知が、内容証明で届きました。
会社はあくまで雇止めではないと主張・・・人事Bからメールで告げられた内容とほぼ同じです。
宣戦布告というわけですね。
会社によっては、この時点で契約更新に応じてめでたしめでたし、というパターンもあるそうですが、うちの会社は違ったみたいです。
まぁ・・・あのプライド高そうな人たちの事なので、想定内の展開です。
とりあえず弁護士さんに助言をいただき、誓約書の方は退職を前提とした社内文書だったので提出しませんでした。
確認書の方は・・・なぜか離職証明書を見せられてもないのに「離職証明書の記載内容に間違いはない」と署名させる内容だったので、こちらも無視しました。
法的手続きへ
数日後・・・契約満了日が近づいてきたため、人事Bが再度こちらに書類提出を求めてきました。
人事B「渡した書類は?」
筆者「証明書を見せてもらってないので、サインはできないです。誓約書の方も、退職しないので提出はしません」
社内は見通しの良いワンフロアで、他の社員もすぐ近くにいます。
堂々と「離職証明書」と発言するのは気が引けました。
人事B「こっちは社労士に相談して、必要だから提出を求めてるんです。提出しないなら、契約終了に同意したっていうことでよろしいですね?」
筆者「いやいや、証明書を見せてもらってないので・・・」
人事B「証明書はお出しできないって前にもお伝えしましたよね?」
筆者「(この人、雇止め理由証明書と勘違いしてる・・・)いやいや、そっちじゃなくて離職証明書の方です。」
人事B「・・・? じゃあ、本人は出すつもりがない、と報告しておきますね」
・・・。
駄目だ!会話が成り立たない!!(呆)
こうやって、ひとたび相手を敵だと認識すると、相手の話を全く聞かなくなる人っていますよね。
悲しいことです。
――会社側と雇止めについて交渉するのは、この日が最後となりました。
今後は弁護士さんに法的手続きを進めてもらって、雇止めに関してはすべて弁護士さんや裁判所の方々を通じて話し合いをする事となります。
この時、弁護士さんにあらためて訴訟と労働審判どちらにするかを聞かれ、復職にこだわって訴訟をするよりも労働審判で解決金を得ることを勧められました。
まだ会社に戻りたい気持ちが残っており、この時点では正直迷っていたのですが・・・一応労働審判をやった後も訴訟に移行することは可能なので、とりあえず労働審判を選択しました。
ちなみに弁護士さんを雇った場合、労働審判をするにあたっての手続きはほとんど弁護士さんがやってくれます。
雇止めや解雇で離職をすると、役所やハローワークでの手続き、臨時のバイト探しなど、色々とやらなければならない事がたくさんあるので、裁判所に提出する諸々を弁護士さんに丸投げできるのは本当にありがたかったです。

とりあえず、会社側との不毛な言い争いからは解放されました!

